冷たい。
そう感じて目がさめた。冷たさの正体は涙だった。自分は、泣いているのだ。
(悲しい・・・・・・・・・・)
心にいっぱいになるくらい、悲しみが満ちていた。
温かい涙も、瞳を出てしまえばただの塩分を含んだ水でしかなく、外気に冷やされて、耳に流れ落ちたときには冷たくなっている。その温度の差が、どこか心地よかった。
こんな風に何もかも、すぐに変わってしまえるなら、もう悲しくない。
だけど、やっぱり悲しい。
しばらく涙は流れ続けた。目覚める前、自分はとても悲しい夢を見ていた。
どんな夢だったかはもう忘れた。だけど、何か大切なものを喪失してしまう夢だった。
仰向けの状態から、横に向いた。涙は右耳を通って、シーツへ落ちた。ぽたぽたと音を立てる。
あれは夢だったのだ。だから何も悲しいはずもない。現実世界の自分には、何の影響も被害もない。
念じても涙は止まらない。悲しみも止まらない。
ほんの数分前、確かに自分は大切なものを失ったのだ。
は、は、と短い呼吸で泣き続けた。夜はまだまだ深く長い。ここは宇宙のように孤独に思えた。唇を噛んで、息を詰めて、涙を止めようとする。洟をすすると、本当に泣いてるみたいで悔しい。これではまるで子どものころのままだ。
真っ暗な部屋が涙でにじむ。静かな部屋に、自分の押し殺した鳴き声がこだましている。泣いているから布団に包まった体が熱い。寝返りを打つと濡れたシーツが驚くほど冷たかった。
ああ、誰か。ここまできて。助け出してほしい。
早く夜が明けて欲しかった。朝になって光がさせば「全部嘘だったんだよ」と言ってもらえるような気がした。
だけどどれだけ願っても現実は現実のままだ。何も変わらない。
心の中にぽっかりと穴を残したままだけど、泣きつかれて、きっともうすぐ眠ってしまう。
いつもよりも緩慢に感じるスピードで夜が流れていく。
更新停滞脱却のためリハビリとしてうpしました。ちょー短いですけどww
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